2つの広報活動(2)

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写真文化の地位は十分に高いでしょうか?


私が個人レベルで行っている広報活動の1つに「写真文化地位向上委員会」があります。

これはどういう活動かと申しますと,読んで字のごとしで写真の文化的地位を向上させるために自分にできることをしようという趣旨の活動です。この背景には,「写真の文化的地位が低すぎるのではないか,写真を趣味とする者としてアマチュア写真家の作家活動ももっと評価されてもよい」という思いがあります。

具体的には,そのために写真やフォトデジタルデータの無償提供を止めようではありませんか,という呼びかけを行っています。私なりの啓蒙活動です。

アマチュア写真家と言ってもいろいろな立場の人がいるでしょうから,当然のことながら1つの価値観で動く必要はまったくありません。

例えば,写真を始めたばかりの人が

「その写真気に入ったのでパンフレットに使わせて下さい」

と言われたら,嬉しくなって

「こんな写真で良かったら,ええどうぞ」

ということになるケースが多いでしょう。

それ自体は悪いことではないのですが,これが進んでいって「どうぜ趣味でやっているのだから,無料で使わせて貰えるはず」という風潮につながることになるのを危惧している訳です。

いや,実際もう既にこの傾向は見られるようになっています。

私は年に何回か,「写真を使わせて欲しい」という内容の依頼を受けることがあります。ほとんどはまったく知らない人からなのでメールで依頼されます。例えば,今年(2009年)の初めに経験したのは

県内の旅行会社からのメールで,旅行パンフレットに使いたいので雲海の写真を使わせて欲しいという内容でした。

「写真文化地位向上のためにも無償提供は行っていませんが,よろしいでしょうか」

という内容の返信すると,その後一切反応はありませんでした。

この手の人はこちらに返信の手間を取らせたことに対するお詫びとお断りの返信をよこすことは決してありません。この10年間ほどで100%です。(大人ならお断りの返信ぐらいしなさいよ,と言いたくなります。人としておかしいでしょう。) 

嘆かわしいですが,この手の依頼が結構あります。その一方で,最初のメールで「使用料も教えて下さい」と書いてあるまっとうな依頼もあります。

どの程度の会社か分かりませんが,少なくともパンフレットを制作して利益を得る立場の人に「なぜ,赤の他人の私が無償で提供しないといけないのか」という当然抱く違和感があります。

上述のメールの差出人は間違いなく,「無料で使わせて貰って当たり前」という感覚の持ち主でしょう。インターネット文化がこういう輩を生み出していると言っても過言ではないと考えます。


上記のような会社の人にお尋ねしたいと思います。

何らかの理由で「雲海の写真」が必要だとします。

まず,撮影機材を確保しなければなりません。

次に,雲海が撮影できそうな場所をリサーチします。それが私の撮影場所のように,「山」だったとします。

天気予報を調べます。次の休みの日か,2週間先か,あるいは1ヶ月先かは分かりません。

雲海が発生しそうな予報になったとします。当然夜明け前に現場に立つ必要があります。自宅から駐車場まで2時間かかります。ガソリン代を使います。その後,山頂まで3時間暗い山道を歩きます。それがいやなら前日から現場に泊まり込みます。

しかし,雲海が発生しませんでした。あるいは,思うような条件になりませんでした。(たとえ,雲海が予定通り発生したとしても,初めての場所に行って満足のいく写真が撮れる可能性は高くはありません。)

また次の機会をねらいます。



あなたが欲しいと思った雲海の写真はこのように時間と労力を使ってものにしたものなのです。それでも使用料を払うのが嫌ですか? 嫌なら,どうぞご自分で撮影に行って下さい。何回かチャレンジすれば写せるかも知れません。

こういう厚かましい人たちの表向きの甘い言葉にだまされて―言い換えると,ほめ言葉に気分を良くして―写真を無償提供することが,結局は写真文化の地位を低下させることになると私は考えています。

撮影者の好意で無償で使わせて貰えるのとその好意を当然のように赤の他人に期待するのとはまったく次元の異なる問題です。四半世紀以上アマチュア写真家として自分なりに真摯に作家活動に携わり生涯の趣味としている私はこのような風潮に与したくはありませんので,写真の無償提供は原則お断りしています。相手が個人でも同様です。非営利でも同様です。ボランティアでも同様です。公的な使用でも同様です。

本当は,営利であってもその程度なら無償でも良いという場合も実際にはあります。しかし,私は敢えて原則を貫くことにしています。簡単に例外を作ると,それと同じくらい簡単に原則は崩れてしまいます。容易に写真を提供することは写真文化の地位向上のためにならないという信念があるからです。

したがって,形だけもよいから何かしらの対価を要求することにしています。“ささやかな対価”の場合は相手に任せることもありますが,とにかく有料であることを貫きます。

例えば,

東北のとある老舗旅館のホームページに使う写真を提供して使用料として地酒をいただきました。私には現金よりもこの方が嬉しかったのです。

あるインターネット事業をやっている会社に写真を提供して商品のマグロセットをいただきました。自分では通販でなかなか買いませんから,これはこれでよい機会でした。

一方,ある程度大きな収益に関わっているような使い方の場合は遠慮無く請求できますのでこちらも気が楽です。例えば,ある自然風景写真が,とあるサービスエリアのレストランの装飾に使われていますが,サラリーマンの平均お小遣いの2ヶ月分くらいに相当する使用料をいただきました。


このように,「意地でも((^.^))写真の無償提供はしない」というのが私のやっている『写真文化地位向上委員会』の活動です。

みなさんも参加しませんか。

請求などしにくいというシャイな方は,「写真文化地位向上のためにも無償提供は行っていませんが,よろしいでしょうか」を返信に使われたらいかがでしょうか。

自分の作品に正当な使用料をいただいて幸せになりましょう。


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